対人援助職に見られる心身の疲弊を理解する:看護師国家試験第113回 午後62問
“燃え尽き症候群”について勉強してたんですけど、具体的にどういう状態になるんですか?
頑張りすぎて心も体も限界に達しちゃって、やる気がなくなったり、仕事が続けられなくなったりする状態だよ。
一生懸命働いても、心も体も疲れすぎて、やりがいが感じられなくなるってことですよね?
そう。頑張っても仕事が終わらないように感じたり、周りから感謝されないことが重なると、どんどん辛くなるんだ。
感謝されないと、やっぱり辛いですね…。
さらに、自分の努力が報われないって感じることが続くと、心がどんどん疲れてしまうんだよ。
頑張っても報われないって感じると、心が折れそうですね…。
特に看護師は、患者さんの命に関わる責任感も大きいから、そのプレッシャーも燃え尽き症候群の原因になることが多いんだよ。
私たちもそうならないように、ちゃんと自分のケアもしないといけないですね。
そうだね。燃え尽き症候群に関する問題が国家試験で出題されたこともあるんだよ。
じゃあ、過去問を見てみましょう!
看護師の仕事は、患者さんの命を預かる責任感や、常に高い集中力を求められる過酷な現場です。
こうした環境に長く身を置くことで、心身ともに疲労が蓄積し、やがて「燃え尽き症候群(バーンアウト)」に陥るリスクがあります。
過度なストレスやプレッシャーにさらされることで、やる気を失い、仕事に対する満足感や達成感が感じられなくなるのが特徴です。
この記事では、過去問を通じて燃え尽き症候群について学びます。この症状の原因や兆候を理解することは、国家試験対策においても重要です。
看護師が直面するリスクを知ることで、試験のポイントをしっかり押さえることができるでしょう。
看護師国家試験第113回 午後62問
人を援助する過程で自分の職務に対して継続して努力したが、満足感や達成感が得られず、うつ症状や社会機能の低下を生じるのはどれか。
1.悪性症候群
2.空の巣症候群
3.緊張病性症候群
4.燃え尽き症候群
解答と解説
1.悪性症候群
✖ 誤り
悪性症候群は、主に精神科の薬、特に抗精神病薬を使用することで発症することがある、非常に危険な状態です。
この症候群は、薬の服用を始めたり、急に量を増減した後に発熱や筋肉の硬直、意識障害などの症状が見られることがあります。
特にドーパミンを抑制する薬を使う場合、注意が必要です。
ドーパミンを抑える薬って、具体的にどんな影響があるんですか?
ドーパミンは体の動きを調整する物質なんだ。これを抑えると、体の動きが悪くなったり、体温調節がうまくいかなくなることがあるよ。
ドーパミンは、運動機能や感情をコントロールする神経伝達物質です。抗精神病薬の一部は、このドーパミンを抑えることで効果を発揮しますが、副作用として筋肉の硬直や体温調節の障害が生じることがあります。
症状と原因
悪性症候群の主な症状は、次の通りです:
- 高熱(38℃以上の発熱)
- 筋強剛(筋肉が硬くなる)
- 意識障害(混乱や反応が鈍くなる)
- 自律神経の異常(心拍数や血圧の変動、発汗など)
これらの症状は、薬の作用が脳内のドーパミンに影響を与え、体温調節や筋肉のコントロールができなくなることで起こります。
また、薬の量を急激に増減したり、突然中止した場合にも発症のリスクが高まります
対処と治療
悪性症候群が疑われた場合、すぐに原因となる薬を中止し、体温や心拍数の管理を行います。
筋肉を緩める薬や、ドーパミンの作用を補う薬が使用されることもあります。早期に適切な対応を行えば、数日以内に回復が見込まれます。
また、予防のためには、抗精神病薬の量を急激に変更せず、服用中に少しでも異常を感じた場合は、すぐに医師に相談することが大切です
2.空の巣症候群
✖ 誤り
空の巣症候群は、子どもが成長して家を離れた後に、親が感じる喪失感や孤独感を指します。
特に、子育てに長年集中してきた親が、突然その役割を終えることで、自分の存在意義を見失いがちになります。
母親に多いとされますが、父親や共働き家庭でも同様の状態に陥ることがあります。
主な症状
- 強い寂しさや虚無感
- 意欲の低下
- うつ状態(気分の落ち込みや体調不良が長期間続く)
対処と治療
新しい趣味を始めたり、社会的なつながりを持つことで、症状の改善が期待されます。
特に、パートナーや友人と気持ちを共有し、サポートを得ることが重要です。孤独を避け、他者とのつながりを保つことが、回復の助けとなります。
深刻な場合は、カウンセリングや医療機関での治療が必要となります。
3.緊張病性症候群
✖ 誤り
緊張病性症候群(カタトニア)は、精神疾患や身体的な原因により、体や意識の動きが極端に低下する状態です。
この症候群は、統合失調症やうつ病、双極性障害に関連して現れることが多いですが、薬物の副作用や感染症によっても引き起こされることがあります。
主な症状
- カタレプシー:異常な姿勢を長時間保つ
- 常同運動:同じ動作を繰り返す
- 無動・無反応:動かず、反応しない
- 反響言語:相手の言葉を繰り返す
対処と治療
緊張病性症候群は、症状に基づいて診断され、治療にはベンゾジアゼピン系薬が第一選択となります(ベンゾジアゼピン系薬は、不安や緊張を和らげる薬です)。
重症例では、**電気けいれん療法(ECT)**が有効です(ECTは電気刺激を用いた治療法です)。治療が遅れると生命に関わるため、早期の治療が重要です。
この症候群は非常に複雑で、症状が重い場合は命に関わることがあるため、専門的な治療と管理が必要です。
4.燃え尽き症候群
〇 正しい
燃え尽き症候群(バーンアウト)は、長期間の過度なストレスや仕事のプレッシャーによって、心身ともに疲弊し、やる気や達成感が失われる状態です。
主な原因は、仕事に対する強い責任感や自己評価の低下が挙げられます。
特に長時間の労働や職場でのサポート不足が引き金になることが多いです。
主な症状
- 無気力感:仕事に対する興味や意欲が失われる
- 慢性的な疲労:休んでも疲れが取れない
- 達成感の喪失:努力しても満足感が得られない
対処と治療
燃え尽き症候群の対処法としては、まず十分な睡眠や食事、運動を通じて心身の健康を保つことが重要です。
さらに、新しい趣味やチャレンジに取り組むことで気分転換を図り、必要に応じてカウンセリングや医師のサポートを受けることも効果的です。
まとめ
燃え尽き症候群(バーンアウト)は、特に看護師のように過酷な職場環境で働く人々が陥りやすい症状です。
長時間の労働や強い責任感、サポートの不足が心身に大きな負担をかけ、やる気や達成感を失わせます。
国家試験でも問われる重要なトピックであり、この症状を理解し、対策を知ることは、看護師として働く上でだけでなく、試験対策にも役立ちます。
燃え尽き症候群を防ぐためには、自己ケアや周囲からのサポートが不可欠です。