精神看護学過去問【統合失調症】のアセスメント
今回の過去問は統合失調症患者さんのアセスメントの優先度を判断する問題です。優先度の判断と聞くと一見難しいように感じませんか?実は優先度の高さを判断することは難しくありません。なぜなら判断基準は明確だからです。
私は20年の経験を持つ精神科ナースです。今日まで数えきれないほどアセスメントの優先度を判断してきました。この記事ではそんな私の知識や経験を交えながら「統合失調症のアセスメント」の過去問について解説していきます。
統合失調症は出題率の高い頻出疾患です。またこの過去問は正答率70%=取りこぼしたくない問題となっております。この問題を私と一緒に解くことで」看護師国家試験の正解率を高めることができ、合格のための効果的な学習をすることができます。
結論は患者の安全や健康を維持することが最も優先度の高いアセスメントということです。この基準を理解するだけで今回の問題や類似問題に正解することができます。
統合失調症のアセスメント(112回 午後 84問)正答率70%
Aさん(25歳、女性)は統合失調症と診断され、入院2か月が経過した。食事や水分の摂取、トイレ歩行は自分でできる。歯磨き、入浴への関心はあまりない。幻聴が聞こえると突然走り出し、壁に頭をぶつけている。日中はホールで過ごし、自分から他の患者と交流はしない。Aさんのセルフケアのアセスメントで優先度が高いのはどれか。
1.排泄
2・個人衛生
3・安全を保つ能力
4・活動と休息のバランス
5・孤独と付き合いのバランス
解答と解説
正答率70%の問題です。絶対に取りこぼしたくない問題であるため考え方をしっかりと理解したうえで解答しましょう。アセスメントの優先度を問う問題は、精神科の疾患だけでなくどんな疾患にも共通する考え方なので必ず理解しておくべきです。
看護において最も優先度が高いことは、患者の安全と健康(生命)を維持する事です。Aさんは「壁に頭をぶつける」=「自分を傷つける行為」がみられています。自分自身の安全と維持するための行動ができていない状態です。これをふまえて選択肢を見てみましょう。決して難しくありませんのでひとつずつ考えていきましょう。
1・排泄
✕ 誤り
Aさんはトイレ歩行がひとりでできています。他に排泄に関連した記述もないためここでは問題がないと考えてよいでしょう。したがって優先度は低いと考えられます。
2・個人衛生
✕ 誤り
「個人衛生」とは患者が自分自身の身体を清潔に保つ事を指します。Aさんは歯磨きや入浴への関心はあまりないためアセスメントの優先度は高いです。より優先される項目がないかどうかが問題となります。他の選択肢と良く比較していきましょう。
3・安全を保つ能力
〇 正しい
Aさんは幻聴があると突然走り出し、壁に頭をぶつける行為があります。これは自分を傷つける行為であり、これによって安全や健康が損なわれる可能性が高いと考えられます。したがって最優先でアセスメントするべき項目となります。
Aさんの「幻聴の内容や頻度」、幻聴があるときの「表情や行動・言動」。「幻聴についてどのように感じているのか」など十分に聴取します。壁に頭をぶるけるなどの行動から、幻聴によって辛い思いをしている事がみてとれますね。看護師はまずAさんの辛い気持ちに共感し幻聴があるときでも安全を保つために何が必要なのかをともに考えていかなければなりません。
4・活動と休息のバランス
✕ 誤り
Aさんの活動に関しては日中ホールで過ごしている記述があるだけである。その他の活動状況や睡眠などの休息に関する記述がありません。したがって優先度を判定することができないので、ここでは除外して考えてよいでしょう。
5・孤独と付き合いのバランス
✕ 誤り
Aさんは現在ほかの患者との交流はみられないため、いずれアセスメントが必要になるでしょう。Aさんは入院して2か月であり、幻聴という陽性症状に左右されています。まずは精神症状が安定し、セルフケアが十分にできるようになってから、他の患者との交流の様子をアセスメントしていけばよいでしょう。
まとめ
セルフケアにおいて最も優先度の高いものは生命を維持する事です。優先度を判断するうえで選択肢にこれらの内容があれば迷わず選択できるため、この問題に関しては難しく考える必要はないでしょう。
以上みなさんの「看護師になる→かんなる」を応援するナース【なないろ】でした。