《准看護師廃止論》本当に仕事がなくなるの?20年現場経験者が解説【後編】

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前編では准看護師制度廃止に関する現状と課題、そしてこの20年での准看護師をとりまく環境の変化について解説してきました。

後編では、准看護師から看護師への進路や可能性について解説します。社会人が看護師を目指す時の課題や将来の見通しについて、詳しく説明します。

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《准看護師廃止論》本当に仕事がなくなるの?20年現場経験者が解説【前編】
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准看護師の将来:分析と考察

高齢化社会を支える医療・介護の担い手:准看護師の重要性

高齢化社会の進展と医療・介護ニーズの増加に伴い、准看護師の需要は着実に拡大する見込みです。

少子高齢化が進むなか、医療・介護サービスへの需要は年々増加しており、これに伴い准看護師の役割も重要性を増しています。

特に、2025年問題による介護需要の急増が予測される中、准看護師は、地域包括ケアシステムにおいて重要な役割を果たすことが期待されるでしょう。

地域包括ケアシステムとは

高齢者の方々が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように、医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組みです。

このように、准看護師は高齢化社会における医療・介護ニーズに対応するための重要な要素であり、その存在は今後も不可欠であると考えられます。

したがって、准看護師制度の廃止は、現状の社会的ニーズや医療・介護の現場での必要性を考慮すると、適切ではありません。

准看護師養成所の定員割れが深刻化:将来的な人材不足への警鐘

近年、准看護師養成所の定員割れが深刻化し、閉校が相次いでいます。このまま状況が改善しなければ、将来的に准看護師養成の事実上の停止となる可能性も現実味を帯びてきました。

准看護師養成所の定員割れが相次ぐ要因としては、少子化、看護教育の大学化、看護師資格取得への意識の高まりなど複数の要因が考えられます。

准看護師養成の停止は将来的な人材不足に繋がる可能性があります。医療・介護現場における人材不足は、国民の健康にも影響を与える恐れがあります。

【社会人の看護師への道は閉ざされるのか】准看護師養成の重要性と未来への提言

准看護師養成が停止となれば、社会人が看護師を目指すための道はさらに狭くなります。ここからは社会人が看護師を目指すための課題について解説します。

社会人の看護師への夢を阻む【時間的制約】


社会人が看護師を目指す場合、3年間の就学期間と実習が大きな壁となることがあります。

多くの社会人は、仕事や家庭の責任を担っており、3年間も学業に専念することは難しい場合があります。

さらに、看護師国家試験受験には、病院や施設での実習が必須です。実習は日中行われることが多く、仕事との両立が困難となる場合も少なくありません。

社会人の看護師への夢を阻む【経済的制約】

看護師を目指す社会人が直面する大きな課題の一つが、経済的な負担です。

特に、私立の看護専門学校や看護大学の学費は、700~800万円以上かかる場合もあり、多くの社会人にとって大きな障壁となります。

さらに、3年間の就学期間中は収入が減少し、生活費や学費を工面することが困難になる場合も少なくありません。

奨学金や助成金制度の活用は経済的な負担を軽減する方法の一つですが、返済義務のある奨学金は将来への不安を生み、経済的な負担をさらに重くしてしまう可能性もあります。

准看護師養成を維持し、社会人が看護師を目指す道を確保せよ!

医療・介護現場の人材不足は深刻化しており、社会人の参入は重要な課題です。

社会人が看護職を志すことは、医療・介護への参入機会を確保し、多様な人材の活躍を促進することができます。

しかし、経済的・時間的な制約は大きな壁となります。

奨学金や助成金の拡充、病院の支援制度の充実など、多様な解決策がありますが、現状では安心して学業に専念するには対応が不十分であり、多くの人が夢を諦めています。

准看護師養成は、社会人が看護職を目指す現実的なルートです。

准看護師は医療・介護現場を支える重要な存在であり、その養成停止はさらなる人材不足を招き、国民の健康に悪影響を与える可能性があります。

准看護師養成に代わる社会人が看護師を目指すルートが確保されるまでは、准看護師養成を維持すべきだと私は考えています

行政、教育機関、医療機関、そして社会全体が一体となって、社会人が安心して学べる環境を整備することが重要です。

厚生労働省が要件緩和を検討!【実務経験5年で可能?】通信制過程で夢に近づく

近年、准看護師から看護師へのキャリアアップを目指す人が増えています。しかし、准看護師養成学校数の減少が課題となっています。

一方、厚生労働省は、今後通信制課程の入学要件を見直し、准看護師資格取得後の実務経験年数を5年以上(3年以上かつ一定の研修修了者)に緩和することを検討しています。これは、働きながら看護師を目指す人にとって朗報です。

しかし、カリキュラムも変更される可能性があり、より学習内容が充実する一方で、学習負担が増える可能性もあります。

准看護師から看護師へのキャリアアップの道が広がる一方で、学習負担増加への覚悟も必要です。

情報収集を徹底し、自分に合った学習方法を選びましょう。 通信制課程のメリットを最大限に活かし、夢に向かって努力を続ければ、きっと目標を達成できます。

20230307修正版_資料4_看護師養成所2年課程(通信制)入学要件見直し (mhlw.go.jp)

現行の准看護師が看護師資格を取得するルート

准看護師のための進学特設サイト|日本看護協会 (nurse.or.jp)

まとめ【制度の廃止の可能性は低い】養成が停止する前に!今すぐ准看護師を目指そう!!

医療現場における人手不足は、医療崩壊への道とも言える深刻な状況です。

私は、社会人の学び直しによる准看護師の育成こそが、医療崩壊を防ぎ、質の高い医療を維持するための最適な解決策であると確信しています。

経済的自立と社会貢献を目指す社会人にとって学び直しが可能となる准看護学校は看護師という夢の実現へ向けての現実的な選択肢です。

しかし、准看護学校は減少の一途をたどっており、この流れを止めることは困難です。

しかし、まだ100校以上の准看護学校が存在し、学生の募集を行っています。

看護職として働くことを夢見るあなたにとって、今こそ行動を起こす絶好のタイミングと言えるでしょう

早めに情報収集を行い、行動を起こすことが重要です。

「准看護師を目指すために今すぐすること」
  • 准看護学校のウェブサイトを訪問し学校の勉強内容や入学条件を調べよう。
  • オープンキャンパスや説明会に参加して、実際に学校の雰囲気を感じよう。
  • 准看護師や、看護師になるための専門家に話を聞いてみよう。
  • 准看護師の情報が集まっているウェブサイトやSNSに参加して、いろいろな情報を見たり、質問をしたりしよう。
  • 准看護師になるために必要な試験の勉強を始めるよう。
  • 入学試験の過去問集が販売されているなら、購入しよう。

以下の情報収集に役立つサイトも合わせてご覧ください。

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なないろ
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看護師(経験20年)
経験20年の看護師です。失業の危機→看護助手→准看護師→看護師へステップアップして人生が変わりました。 私の経験をもとに皆さんの看護師になるという決意→「かんなる」を応援するブログを運営しています。 どんな状況でもあなたの決意次第で必ず看護の道は開かれます。私と一緒に看護師人生の一歩を踏み出そう!
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