【攻撃性】が高まった成人患者への対応
今回の過去問は攻撃性の高まった患者への対応についての問題です。
攻撃性⇒相手に対して危害を与えようと意図して行われる行動
危害⇒身体的な暴力や精神的な苦痛を与えようとする行動
精神科では患者さんが攻撃的になることが多いんですか?
精神疾患の影響で攻撃性が高まることはよくあるわ。
最近はどの科でも、患者さんから危害を受けるケースがあるの。
怖いですね。看護師はどうやって対処すればいいんですか?
患者さんの攻撃性を和らげる技術と、自分の身を守る意識が大事よ。
患者さんと自分の安全、両方を考えて行動するんですね。
患者さんと接する機会の多い看護師は、攻撃性が高まった患者さんから危害を加えられるスクがあると常に考えて行動しなくてはなりません。
この設問はこのような状況でいかに患者さんの攻撃性を和らげ、看護師の身を守る事ができるか、双方の利益を確保する技術を理解できているか問われる問題となっています。
第110回看護師国家試験 午後 64問
攻撃性の高まった成人患者への対応で正しいのはどれか。
1.患者の正面に立つ。
2・アイコンタクトは避ける
3・身振り手振りは少なくする
4・ボディータッチを積極的に用いる。
解答と解説
1・患者の正面に立つ。
✕ 誤り
攻撃性の高まっている患者さんの正面に立つことはで避けるべき行動です。
理由①
正面立つことは、挑発的な行動をとっていると感じさせやすいため、ますます攻撃性を高めてしまう恐れがあります。
患者さんが恐怖や緊張を感じると攻撃性が高まりやすいわ。
相手の斜め前に立つと緊張が和らぐと言われているの。
理由②
看護師自身の安全確保のためです。患者さんからの暴力をかわすことのできる物理的距離ち、直接的な暴力を受ける可能性を減らす事が重要です。
相手の攻撃が当たらない距離を保つことが重要
3・アイコンタクトは避ける
✕ 誤り
アイコンタクトとはお互いに視線を交わすこと=目をあわせることです。目を合わすことで、相手に対して関心を寄せている、理解しようとしているという姿勢を示すことができます。
また目を見ることで相手の表情や行動を観察することができるため、患者さんの感情や意図をよみとりやすくなります。
目を見て話さない相手には不信感を感じますよね。
身振り手振りは少なくする
〇 正しい
看護師が身振り手振りを多用することによって、患者さんが恐怖感や不安感を高める恐れがあります。
さらに攻撃性を高めてしまう要因となるため身振り手振りは最小限にするべきでしょう。
ゆったりとした動作が患者さんに安心感を与えるわ。
ボディータッチを積極的に用いる
✕ 誤り
相手に触れるという事は、「パーソナルスペース(精神的な縄張り)」に侵入しているということになります。
不必要なボディータッチは相手に不快感を与えることがほとんどなので積極的に行う必要性はありません。
解答のポイントまとめ
- 患者との距離感:攻撃性が高まった患者には、正面ではなく斜め前に立つ。安全な距離を保ちつつ、挑発しないように対応する。
- アイコンタクト:目を合わせることは、患者に対して関心を示し、信頼関係を築くために重要。
- 身振りや手振り:不安を煽らないように、動作は最小限に。ゆっくりとした動作が患者に安心感を与える。
- ボディータッチ:攻撃性が高まっている患者には、触れることを避ける。相手のパーソナルスペースを尊重することが大切。