精神障害者を支える制度:看護師国家試験:第113回 午後63問
精神障害者を支える制度が整理できません。
違いを教えてもらえますか?
確かに複雑に感じるよね。
でも、ポイントを押さえれば簡単だよ。
手帳があれば全部の支援を受けられるんだと思ってました。
そう思うよね。でも、手帳は主に税金や公共料金の軽減など、社会的支援に使うものなんだ。
なるほど。
手帳は経済的な負担を軽くする制度なのですね。
その通り。
また、医療費を軽減する「自立支援医療」の制度もあるよ。
え、医療費の支援はまた別なんですね!
そうなんです。さらに、自立支援給付や地域生活支援事業では、介護を受けたり、就職に向けた訓練を受けたりすることもできます。
就職のための訓練も受けられるんですね!
制度がいろいろあって、少し驚きました。
だから過去問を解くときも、どの支援がどの制度で提供されているかを理解しておくことが大切なんだ。
精神障害者を支える制度には、精神障害者保健福祉手帳や自立支援医療、障害年金、生活保護など、さまざまなものがあります。
しかし、これらの制度は目的が異なるため、すべての支援を手帳だけでカバーすることはできません。
手帳で受けられる経済的支援に加え、医療費や生活費の支援には別の制度が必要です。
本記事では、過去問を通じてこれらの制度の違いを整理し、どの支援がどの制度で提供されているのかをわかりやすく解説します。
看護師国家試験:第113回 午後63問
精神障害者保健福祉手帳の交付によって精神障害者に適用されるのはどれか。
1.行動援護の介護給付
2.所得税の障害者控除
3.自立支援医療(精神通院医療)
4.グループホームで必要な日常生活上の援助
精神障害者を支える主な制度:整理して覚えよう
- 税金の控除や減免
- 交通機関や公共料金の割引
- その他の料金割引(携帯、NHK受信料など)
- 介護支援(自宅や施設での介護)
- 訓練支援(自立生活や就労に向けた訓練)
- 相談支援(生活や地域移行に関する相談)
- 医療費の自己負担軽減(精神通院医療)
- 地域生活支援(移動やグループホームでの支援)
生活費を支援する障害年金や生活保護についても知っておこう。
解答と解説
1.行動援護の介護給付
✖ 誤り
行動援護は、障害者総合支援法に基づく支援サービスです。
この制度は、知的障害や精神障害により行動が困難な人々が、安全に日常生活を送れるように支援することを目的としています。
具体的には、危険を避けるための見守りや移動のサポート、外出時の介助が行われます。また、意思疎通が難しい場合には、代筆や代読といった支援も提供されます。
2.所得税の障害者控除
〇 正しい
精神障害者保健福祉手帳に基づく所得税の障害者控除は、精神保健福祉法に基づく支援の一つです。
この手帳は、精神障害を持つ方が日常生活や社会生活で必要な支援を受けるための認定証です。
手帳を所持することで、所得税の障害者控除が適用され、本人やその扶養者の税負担が軽減されます。これは、手帳を持つことで受けられる主要な公的サービスの一つです。
3.自立支援医療(精神通院医療)
✖ 誤り
自立支援医療(精神通院医療)は、障害者総合支援法に基づく制度です。
この制度は、精神障害を持つ方が通院治療を受けやすくするため、医療費の自己負担を軽減します。
具体的には、通常3割負担の医療費が、1割負担に軽減されます。
対象となるのは、精神科での通院診療や処方薬、デイケア、訪問看護などです。長期的な治療が必要な方の経済的な負担を支える仕組みです。
4.グループホームで必要な日常生活上の援助
グループホームで提供される日常生活の援助は、障害者総合支援法に基づくものです。
これは、障害を持つ方が共同生活を通して自立した生活を送るための支援を目的としています。
具体的には、食事や入浴、排泄などの日常的な介助に加えて、健康管理や通院の支援、外出時のサポートが含まれます。
また、生活上の不安や問題が生じた際には、相談や助言も提供されます。
これらの支援は、住人の個々のニーズに応じて柔軟に行われ、地域社会での自立生活を支える重要な役割を果たします。
まとめ
この設問では、精神障害者保健福祉手帳で受けられる支援内容を正しく理解することが重要です。
手帳がカバーする支援と、他の制度が提供する支援を区別して考えましょう。
たとえば、手帳で受けられるのは税金の控除や公共料金の割引などの経済的支援です。一方、医療費の軽減や介護サービスは、障害者総合支援法に基づく別の制度で提供されます。
制度を区別する理由は、それぞれ異なる目的で設計されているからです。
試験でも、制度ごとの役割をしっかり理解しておくことで、正しく対応できるようになります。