一次予防でメンタルヘルスを守る:看護師国家試験第113回 午後61問
看護師ってストレスが多い仕事ですよね。どうやってメンタルケアしてるんですか?
そうね。ストレスは毎日のように感じるわ。だから「一次予防」が大事なの。問題が起こる前に対策を取ることがポイントよ。
一次予防…聞いたことありますけど、具体的にはどういうことですか?
ストレスがたまる前に、リラックス方法を学んだり、ストレスを管理するのが大事よ。例えば、深呼吸や軽い運動が効果的ね。
なるほど、そうやってストレスが爆発する前に対策を取っておくんですね!
その通り。メンタルの不調は気づきにくいから、未然に防ぐことがとても大切なのよ。長く働き続けるためにもね。
看護師は多忙な業務や患者のケアを通じて、日々多くのストレスを抱える職業です。そのため、メンタルヘルスを維持するためには、症状が現れる前にリスクを減らすことが重要です。これを「一次予防」といい、国家試験でも問われる基本的な概念です。
一次予防とは、病気や心の不調が発生する前に行う予防的な対策のことです。ストレスマネジメント研修やセルフケアの教育がその一例です。看護師は、これらの技術を活用して、仕事の中で心身の健康を守るスキルを身につけます。
二次予防は、すでに問題が発生した際に早期発見し対応することを指します。たとえば、メンタル不調が見られた場合、迅速にカウンセリングを行うことがこれにあたります。
三次予防では、病気の再発を防ぎ、職場復帰をサポートするためのリハビリやフォローアップが行われます。
試験対策としては、これらの予防段階を理解し、それぞれの具体的な対応策を整理することが鍵となります。特に、一次予防ではストレスがたまる前の対策を重視する問題が多く出題されるため、理解を深めておきましょう。
予防医療の概念(メンタルヘルス)
予防の段階 | 意味 | 具体策 |
---|---|---|
一次予防 | 病気や不調を未然に防ぐ | ・ストレスチェック ・セルフケア教育 ・快適な職場環境作り |
二次予防 | 早期発見と迅速な対応 | ・メンタル不調の早期発見 ・カウンセリング ・早期対応策 |
三次予防 | 病気の再発防止とリハビリ支援 | ・復職プログラム ・再発予防のサポート ・復帰後のフォローアップ |
看護師国家試験第113回 午後61問
看護師のメンタルヘルスに関する対応で一次予防はどれか。
1. 入職時のストレスマネジメントに関する研修
2. 精神的不調が生じた看護師への公認心理師による相談
3. 精神的不調で休職している看護師への復職支援プランの作成
4. 精神的負荷がかかっている可能性のある看護師への産業保健師による面談
解答と解説
1. 入職時のストレスマネジメントに関する研修
〇 正しい
ストレスマネジメント研修は、問題が表面化する前に心身への負担を軽減する「一次予防」の取り組みです。これは、看護師自身がストレスに対処する力を養い、健康を維持しながら働くことを目的としています。
研修では、看護師が日々のストレスに対処する具体的なスキルを学びます。例えば、深呼吸や瞑想といったリラクゼーション技術、時間管理、感情コントロールの方法などです。
この研修により、看護師は過度なストレスや不安を軽減し、メンタルヘルスを維持しながら業務に取り組む力を養います。その結果、パフォーマンス向上や「バーンアウト」(燃え尽き症候群)の防止にもつながります。
2. 精神的不調が生じた看護師への公認心理師による相談
✖ 誤り
このケースでは、すでに精神的な不調が発生しているため、一次予防ではなく、問題が発生した後の対応が必要です。
症状が現れている状態での公認心理師による相談は、看護師の精神的な不調に対し、適切な治療やサポートを提供する「二次予防」にあたります。
公認心理師は、メンタルヘルスの専門家で、カウンセリングや心理療法を通じて看護師の心のケアを行います。産業保健師が身体的な健康を管理するのに対し、公認心理師は心のケアに特化しています。
例えば、看護師が業務で感じるストレスを言葉にして整理し、その解決策を一緒に考えることや、心理療法で感情の安定を図ることが含まれます。
公認心理師のサポートは、看護師が長期的にメンタルヘルスを維持し、安心して業務に集中できる環境づくりに貢献します。
3. 精神的不調で休職している看護師への復職支援プランの作成
✖ 誤り
このケースでは、看護師がすでに精神的不調で休職しており、問題はすでに発生しています。そのため、一次予防ではなく、問題が起こった後の対応が必要です。
復職支援プランの作成は「三次予防」にあたり、病気や障害の再発を防ぎ、社会復帰や生活の質向上を目指す取り組みです。看護師が無理なく職場に戻り、再び精神的不調を起こさないよう支援することが目的です。
復職支援プランには、復帰前の面談や段階的な勤務スケジュールの調整、業務負担の軽減、メンタルヘルスのフォローアップが含まれます。例えば、初めは短時間勤務からスタートし、徐々に業務時間や範囲を広げていくことで負担を軽減します。さらに、復職後も定期的に産業保健師や公認心理師との面談を行い、心身の状態を継続的にフォローします。
このような包括的な支援により、看護師は無理なく自信を持って復職できる環境が整います。
4. 精神的負荷がかかっている可能性のある
看護師への産業保健師による面談
✖ 誤り
のケースでは、すでに「精神的負荷がかかっている可能性がある」という前提があり、問題が発生しかけているか、初期症状が出ている状態と考えられます。そのため、一次予防ではなく二次予防に該当します。
二次予防は、問題の初期段階で早期に発見し、適切な対応を行うことで、深刻化を防ぐことを目的としています。産業保健師による面談では、看護師の精神的負荷やストレスの状態を確認し、必要に応じてサポートや介入が行われます。
例えば、夜勤が続いて「最近眠れない」「仕事に集中できない」と感じる看護師が、産業保健師と面談してその原因を話し合います。この面談を通じて、ストレスや疲労の原因を特定し、休息方法のアドバイスやカウンセリングが提供されます。
早期の介入により、心身の負担が悪化する前に適切なケアが行われ、看護師が安心して働ける環境作りに繋がります。
まとめ
看護師国家試験第113回午後61問では、メンタルヘルスを守るための「一次予防」が問われました。一次予防は、問題が発生する前にストレスに対処する重要なステップです。看護師が健康を維持しながら働くためには、この予防医療の基本概念を理解し、実際の現場で活用することが求められます。
この問題のねらいは看護師がメンタルヘルスを保ちながら働くための予防策を理解し、適切に実践する力を養うことにあります。それぞれの予防段階に応じた対応策を学び、国家試験に備えましょう。